こじれるコンプレックス

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こじれるコンプレックス

ラジオを中心に好きなことを自由に書いているブログ

宗教の勧誘から逃げた話。

雑談
地元を離れて1年が経った頃、宗教の勧誘に会ったことがある。
 
ある休日の夜、駅の地下街にある書店で青年に話しかけられた。
突然知らない人に話しかけられたことに私は動揺した。
そして、「僕は友達募集中です」と両手を広げる姿と、そのグイグイくる姿勢が怖くなった。
また、その態度といかにもインドア派な見た目のアンバランスさにも多少不気味さを覚えた。
 
しかし、ゲームが趣味だという話が弾み、つい警戒心を解いてしまった。
(よく考えたら、向こうが一方的に話して、私はうなずいていただけだったんだけど……)
 
今度また話しましょうよ、という流れになった。
できれば今週早い方がいいと、青年はやたら直近に会いたがった。
「平日はちょっと忙しいので……」と言ったにも関わらず、青年は半ば強引に、2日後の平日に次の約束を取り付けてきた。
私はその勢いに気圧されて、同意してしまった。
 
連絡先も交換しましょうと、青年がポケットから取り出したのがPHSであることに違和感を覚えた。
「若いのにスマホじゃないの……」と正直思った。ガラケーならまだ理解できるけど。
 
そして、私が話しても、一心不乱にPHSで何か文字を打っている時があったことも気にかかった。
「あなたから話しかけておいて、話してる途中で携帯触って、何なんですか」と言いたくなる気持ちをこらえる。
 
2日後。
「宗教の勧誘か政治の話だったら意地でも逃げよう」と決意して、指定された駅に着いた。
青年も遅れてやってきて、「今日は□□というところでお茶をします」と告げてきた。
 
お茶をするところまでに向かう間も、彼は盛り上がってると思い込んでるトークを繰り広げた。
意図が分からない質問をされたり、青年がはまっているというアニメの話をされたり……。
私は「ええ、ああ……」とリアクションを悪くしているのに、お構いなしである。
 
ある駅から大道路沿いを歩いて、青年は「ここです」とある建物を指した。
青年が指した建物の看板には、「△△会 ○○館」(※イメージ)と書いてあった。
 
「ああ、やっぱりか……やっぱりか……」
 
私は逃げる決意をした。
「仕事を思い出したので帰ります」と逃げようとしたが、そこから青年はとにかくしつこかった。
 
「僕だって電車賃出してここまで来てるんです」
「約束しておいてダメですって、社会人としてどうなんですか」
「じゃあ近くの※※(ファミレス)で話しませんか」
「次はいつなら約束できるんですか」
 
その間にも、施設には色んな人がぞろぞろ入っていく。しかし、ケンカ気味になっている私たちに目をやる人は誰一人として居なかった。
青年の問いかけに、私はとにかく強気に拒否を示す受け答えを繰り返した。
だが、彼は私の言い分を聞くどころか、またPHSで一心不乱に何か打っていた。
 
誰かを呼び出す気なのだろうか……。建物の前だから呼び出すことは簡単だろう。
複数人に囲まれでもしたら、命が危ない。
それが怖くて、じりじりと私は建物から駅の方へ後ずさりした。
 
小走りに私が駅に向かっても、青年は駅まで追いかけてきた。
駅に向かう最中、青年は逃げる私を一通り責めた後、こう切り出した。
 
「新聞は読みますか、テレビでニュースは見ますか」
「新聞を読まないんですか、そんなんで大丈夫なんですか」
「集団的自衛権を知っていますか」
 
そこから、その宗教を信じた方がいいのだ、という話になった。
正直、宗教を信じた方がいいという結論までに至るその過程は、ロジカルじゃない私でも論理が破綻していると分かるレベルで呆れた。
あと、なんで年下の人間にニュースに疎いことをなじられなきゃいけないんだ。社会人でもないくせに偉そうに……。
(初めて会った時、青年は職業について「大学生でした」としており、「働いている」とは言わなかった) 
 
駅に着いても「あと5分だけ話を聞いてくれないか」としつこく願われた。
その説得が、すでに5分を過ぎていた。
「ノルマじゃないんです」って私が聞いた訳でもないのに言ってきた。
達成できるか分からないノルマに追われているのだろう。
でも私はやさしくないから助けてあげない。
 
私が態度を硬化させたことでらちがあかないと判断したのか、青年は折れて、宗教施設の方面へ戻っていった。
私は逃げるように改札を通って、電車に乗った。
 
電車の中では、動悸が収まらなかった。
「もしかしたら、さっきPHSを操作していたのは、誰かに私の尾行を頼んだのでは……」
そんな疑念も持っていたため、家に帰って自分が無事だったことを確認できるまで気が休まらなかった。
都会って怖い、とその時初めて思った。
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まんまに乗った私もバカだし、物知らずだ。
書店で話しかけられた時に、耳からイヤホンを外さないで無視していれば、何にもなかったのだ。
 
日本国憲法第20条で信教の自由が保障されている以上、
他人がどんな宗教を信じていようが文句を言う権利はない。
 
ただ、自分が信じていることを正当化するために、卑怯な手段を使って関係のない他人を巻き込まないでほしい。
強引な手段で勧誘する人たちは、色んな人の心にどんな傷をつけているのか想像しているのだろうか。
 
勢力拡大のためなら何でもやっていい訳じゃない。
そして、自分の信じる幸せを他人に強要しても、誰も幸せにしない。
せめて、それだけは理解して勧誘活動をしてほしい。